No.22 6月13日【木】=食品の安全性とは?=

おはようございます。

紅麹サプリの問題について以前もお話ししましたが、その後もこの事件の真相は十分に検証されないまま、機能性表示食品の安全性、引いては食品の安全基準についての考え方自体にも多くの問題を抱えたまま、ただメーカーによる回収作業だけが続けられています。制度の見直しも含めた今後の対策、同様の事故を防ぐ再発防止については、うやむやのまま幕引きが行われるのではと大変危惧しています。国民と消費者はもっと行政の真摯な対応を求めており、非常に消化不良感が残ります。

一方で、私たち消費者の食品に対する安全意識も改めるべきところがあるとも感じています。紅麹サプリの健康被害問題が抱える問題点には、消費者サイドの食品に対する安全誤認があったのではと考えます。もちろんこれは一部誘導された誤認の可能性もありますが、一般的には「食品だから安全」という幻想があったことは否定できません。しかしそれは幻想であり、食品だから、天然だから、といったフレーズは多くの消費者が誤解している誤ったイメージであると指摘します。

機能性表示食品に限らず、加工食品、一般食品、農産物、水産物、すべてにおいて自然のもの、天然由来のものは安全というのは正しい概念ではありません。自然はむしろ怖いものであり、食品も本来的には、さまざまな自然の化学物質や微生物などを含んでいて、ゼロリスクということはあり得ないということです。そしてこれが私たちの口に入るまでの過程において、わずかな瑕疵や想定外の事由により、健康被害に直結することを今回の事故は改めて私たちに示したと言えます。

自然のもの、天然由来のもの、こうした食品は私たち人間が長い年月をかけて、ある意味人体実験を繰り返すことで食経験というものを積み上げてきた結果であり、経験的に食べられる、食べられないを判断してきた結果でしかありません。そしてその中には、このくらいまでなら大丈夫だけど、それを超えると害を及ぼすといったものがたくさんあります。例えば私たちが毎日にように食しているジャガイモにも、天然毒素は微量ながら含まれています。総称的に植物性アルカロイドと呼ばれる物質ですが、非常に強い生理作用を持つものが多く、コカイン、カフェイン、ニコチンなどもその一種です。ジャガイモのアルカロイドは主に芽や皮に含まれていますが、60㎏の成人がジャガイモを皮ごと1キロも食べれば確実に食中毒を起こすレベルに達すると言われています。しかし普段はそんなには食べないので、問題にはならないレベルということです。

この問題ないレベルを、食品の安全マージン(余地)と言いますが、食品の中にはこの安全マージンが小さいものもあり、こうした食品は、少し食べすぎたり、普段食べない量を食べると食中毒などの健康被害を起こしやすいと言えます。また幼児や子供は、当然安全マージンが大人より小さくなるので、より注意が必要です。小学校でジャガイモの食中毒事故がしばしば起きている事例があり、調査したところ授業でジャガイモの栽培をして、未成熟の緑色のものも一緒に食べた結果、中毒を起こしたとのことでした。

通常、この安全マージンは食品添加物の使用基準や残留農薬などの許容基準を決める際には、100倍以上の安全マージンを取ることになっています。しかしながら、自然の産物に含まれるアルカロイドのような物質では、現実的にはジャガイモの例のように、数倍程度の安全マージンしかないものも多く、私たちの主食となるコメや小麦も例外ではないということです。つまり自然由来だから、あるいは伝統的なものだからという発想は、幻想であり、安全である証明にはならないということです。

では、食品の安全性はどのように確保すればよいのか。もちろん食経験は一番大きな判断材料です。そして大切なことは食材ごとに私たちが長年かけて実証してきた美味しい食べ方、レシピを逸脱しないことです。そうすれば安全マージンを超えるような摂取には至らないはずです。そしてもう一つ大事な点は、その食材の由来、生産方法、製造工程など、可能な限りでよいので、そのルーツにも意識して目を向けることであると思います。

機能性表示食品、特定保健用食品(トクホ)、その他健康食品、サプリメントなど、薬局や専門店に行けばたくさんの製品が所狭しと並んでいますが、その大半はカプセルであったり、錠剤であったり、ちょっと考えればこれが本当に食品?といった形状をしているものばかりです。そこには今日述べた安全マージンを逸脱しているケースが非常に多いのも事実です。レモン50個分の○○や、レタス100個分の△△という不自然さに、もっと注意が必要なのではと思います。

今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。

よろしくお願いします。

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