No.13 5月29日【水】=高齢者は70歳から?=

おはようございます。

先ごろ開催された経済財政諮問会議において、高齢者の定義を現在の65歳から5歳伸ばして、70歳にすべきではと言う提案がなされました。すぐにということではないようですが、平均寿命がますます伸びて超高齢社会となりつつある日本において、遅かれ早かれこうした議論がなされることは必然的なことと捉えられています。高齢者の年齢を5歳伸ばすことで、今後どのような変化、影響があるのでしょうか。直接的に関連が出てくるのは、まず定年の問題、そして年金の問題ですね。

定年については、本人が希望すれば65歳まで継続して雇用することを企業は義務付けられていますので、大半のサラリーマンは65歳までは働くというのが普通になりつつあります。それでも60歳を定年とする会社がまだ全体の3分の2を占めており、定年を65歳以上に伸ばしている会社は全体の4分の1にとどまっています。もちろん少数ですが、米国のように定年を完全に廃止している企業もあります。ただし、65歳まで雇用は継続するものの、60歳を境に雇用形態が変わり、給与水準も役職が外れて大幅にカットされるというのが一般的な企業では多いようです。

高齢者の定義が70歳となれば、雇用についてもその分スライドする方向で、継続延長を検討することになると考えられますが、職種によっては体力的な問題も加味して考える必要があり、軽勤務や勤務時間の短縮などの選択肢も用意し、フレキシブルな対応が求められると思います。雇用が延長されれば、今後深刻化するであろう人口の減少による労働力不足を一定程度補うことも期待できますので、彼らの豊富な経験や知識をうまく活用できる働きの場を、如何に過不足なく提供できるか、それが企業にとっての大きな経営課題であり、働き方改革の目指す一つの大きな目標であると思います。

そして70歳を高齢者の定義とした場合、もう一つの課題が年金です。もちろん年金制度にとっても70歳まで継続して働く人々が増えれば、年金の受給開始をその分後ろに伸ばせる可能性が出てきますので、大変好ましい方向性ではあります。しかしながら、健康上の問題や事情により雇用が延長できない個人もいることを考えれば、支給開始は65歳という基準は据え置きながら、70歳、75歳と年金の受給開始を自分の判断で先伸ばしするメリット(金額の加算制度)があれば、多くの人がこれを選択するようになるのではと考えます。これにより、実態は年金支給開始を延ばす人の割合が増えて、年金の制度運営も非常に安定すると期待します。

高齢者の定義を70歳とすることには、数多くのメリットがあり、国としてはぜひ実現したい方策ではありますが、それを可能にするためには、解決すべき大きな問題があります。それがまさに健康寿命の延伸であり、これなくして高齢者の定義だけ70歳にしたのでは、すべての国民に大きなしわ寄せが及び、年金や社会保障制度が破綻する前に、私たち国民の生活が破綻してしまいます。つまり国民の健康増進があって初めて70歳高齢者の議論が実現するということです。そしてその大きな期待を私たちのサステナがその一端を担っているのだと言うことを誇りに感じましょう。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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