No.5 5月15日【水】=生存環境科学(エネルギーの循環)=

おはようございます。

先週は、原子の世界、そして昨日は分子の世界と、最もミクロの単位から少しずつサイズを上げて私たちの生活環境に近づいてきました。今日はその分子が構成する物質の世界で、ようやく私たちの目に見えるレベルまで上がってきました。動物も植物も、そして空気も水も、石ころまでも、この世のすべての物質は、その性質を失わない最小単位として分子で構成されているという話でした。

では、分子が構成する地球上のすべての物質は、どのように作られ、存在しているのかと言うのが今日のテーマです。私たちの身体、植物も動物も、そして微生物までも、生命体とよばれるすべてのものは、それを構成する物質によってできています。そしてその物質は分子によって構成され、その特徴や性質が規定されています。しかし大もとの原子までたどれば、殆んどの生命物質を構成する分子の9割以上は、CHONという4つの原子で成り立っているというところまでお話しました。タンパク質、炭水化物、脂質、すべてです。ミネラルを除く、すべての構成物質がたった4つの原子から構成されているということです。

そして、この4つの原子は、大気と水という地球上のどこにでも存在する物質の構成要素にもなっているとい事実です。これが構成を変え、さまざまな分子となり、生命に必要な物質をつくり、まさに循環しているのです。言い換えれば、生命活動とは壮大なリサイクル活動なのです。もちろん、物質をつくる、あるいは分解するには、エネルギーが必要です。このエネルギーにもリサイクルの仕組みがあります。裏返せば、生物がその営みのなかで物質をつくったり、分解したりする活動によって、エネルギーが蓄積され、伝達され、消費されていると言えます。しかしそのエネルギーの源はじつはすべて太陽が発するエネルギーがおおもとなのです。原子力を除けば、すべてのエネルギーは太陽光によって供給され、これを私たち人間を含むすべての生物は、物質に変換してリサイクルしながら利用しているに過ぎないのです。

入り口は、植物です。植物が太陽光をエネルギーとして空気中の二酸化炭素と水から炭水化物を作り出してくれます。これがいわゆる光合成です。太陽のエネルギーを主に糖として植物の体内に蓄積してくれます。これが果実になったり、あるいはイモなどの根菜として、はたまた麦やコメのような穀物として、エネルギーを蓄えた炭水化物に変化しているのです。ここが、太陽エネルギーが生物界で利用される入り口となっているのです。それは陸上だけでなく、海においても同じで、やはり海藻が光合成によってエネルギーを海の生物界に取り入れる入り口の役割を果たしています。

そして、そのあとはまさに食物連鎖によって、太陽エネルギーを蓄えた炭水化物が捕食されることで、さまざまな生物に取り込まれ利用されてゆくのです。そしてそのエネルギーの出し入れが炭水化物を分解し、分子に変換したり、あるいはその分子を別の分子へ作り変えたりする作業によって行われています。これが代謝という活動です。代謝によって、生命活動に必要なエネルギーを取り出し、あるいは生命体を構成する物質を作り出したり、分解したり、それそのものが生命活動なのです。

炭水化物は、生命体の中で分解されエネルギーを取り出すと、水と二酸化炭素に変化します。化学式で表すと、C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O となります。注目してほしい点は、すべてC、H、Oの世界なのです。この矢印を逆向きにすると、じつは植物が行っている光合成の化学式になります。非常に単純なことですが、植物は太陽エネルギーを利用して、二酸化炭素と水を炭水化物にかえてくれます。そしてそれを食べた生物は、この炭水化物からエネルギーを取り出した結果、水と二酸化炭素を排出しているということです。

植物によって、太陽エネルギーが水分子と二酸化炭素分子を炭水化物(ブドウ糖)に変えます。(光合成)これを私たちは、炭水化物を食してその貯えられたエネルギーを取り出すために、分子構造を変えて分解し、水分子と二酸化炭素分子に戻しているのです。その際には、材料となる炭水化物以外に酸素分子(O2)が必要なので、空気中の酸素を取り込んで、エネルギーを取り出した後に発生した二酸化炭素(CO2)を排出しているのです。これが呼吸とよばれる活動にあたります。呼吸は光合成の裏返しです。

これらに代表されるように、私たちの生命活動はさまざまな物質を分解したり、再構成することで営まれていますが、その原点は物質の分子構造を変化させて、エネルギーを取り出したり、あるいは蓄積したり、あるいはそのエネルギーを利用して、生命活動に必要な物質をさらに作り出しているという活動の繰り返しなのです。そしてそのエネルギーすらもおおもとは太陽エネルギーですが、それが分子の変換によって循環されているということなのです。

明日も、もう少しわかりやすく説明を続けたいと思います。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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